在日本韓国YMCA移住者のリアリティTOP> 第1期「境界から考える」(2009年5月〜7月) 



(各時期の講座記録・参加者感想)

(2009年5月〜7月 アンジェロ・イシ×小ヶ谷千穂×五十嵐泰正×森千香子×山本敦久)

(2009年9月〜11月 挽地康彦×稲葉奈々子×高谷幸×鍛治致)

(2010年4月〜7月 辛淑玉×樋口直人×鵜飼哲)

(2010年10月〜12月 李孝徳×木下ちがや×金明秀×安田浩一)



第1回連続講座 移住者のリアリティ
境界から考える


急激な少子高齢化による総人口の減少、金融危機と製造業の不振、入管法改定の動きなど、
移住者を取り巻く日本社会の状況は刻一刻と変化している。
日本社会は移住者をどのように包摂し、いかなる共生社会を設計するのか。
これまで幾度となく掲げられてきた「多民族・多文化共生」のスローガンを、改めて検証することが求められている。
その一方で、素朴ではあるが重要な問題とも格闘せねばならない。
――そもそも移住者とは誰か、移住者のリアリティーとは何なのか。
そもそも移住者と みなされる人びとを一括りになどできないし、
そのリアリティーはおそらくスナップショットでしか切り取ることができないのだから。
また一方で、それら素朴な問いは、すぐさま自己言及的な問いにぶつかるだろう。
――移住者をまなざし、名指す者はいったい誰なのか。
移住者を名指す者であれ名指される者であれ、どちらの立場もけっして自明でないならば、
そこにあるのは、立場性を自明視させる「神話」の働きである。
<境界から考える>とは、この神話と向き合って立ち、思考することにほかならない。
その先に何が見えるのか、連続講座で議論していきたい。

プログラムのチラシPDFファイル


5月19日(火)18:30〜

第1回「在日ブラジル人として、在外ブラジル人として―移民の二つの顔―」(終了しました)
講師:アンジェロ・イシさん(武蔵大学教員)
◇テーマについて◇
日本で「日系人」あるいは「日系人労働者」として語られる在日ブラジル人は、ブラジル政府からみれば「在外ブラジル人」でもある。彼らは日本およびブラジルにおいて、どのように見られ(あるいは見捨てられ)ているのか。今年、新設された「在日ブラジル人全国ネットワーク」の活動など、移民コミュニティの現在と未来について考えてみたい。
◆講師の紹介◆
武蔵大学教員。サンパウロ市生まれ、サンパウロ大学ジャーナリズム学科卒。 90年に来日、東京大学大学院などを経て、ポルトガル語新聞の編集長を3年間務めた。日伯の移民やメディアを研究する傍ら、ジャーナリストとしても活動。著書に『ブラジルを知るための55章』(明石書店、2001年刊行、近いうち新版を発行予定)、『エスニック・メディア』(明石書店、共著)、『移動する人々、変容する文化』(御茶の水書房、共著)など。


6月6日(土)18:00〜

第2回「移住者とケア―フィリピン・日本を結ぶ視点へ向けて―」
講師:小ヶ谷千穂さん(横浜国立大学教員)
◇テーマについて◇
日本とインドネシア、フィリピン間のEPA締結による看護師・介護士受け入れは、日本社会で注目を集めている。しかしその関心はもっぱら、「日本の高齢者介護の現場がどうなるか」であり、ケアの担い手の移動が、移住者とその出身社会、そして日本を含めた移住先社会をどのように結びつけるのか、という視点は欠落しているように思われる。今回は、フィリピンと日本の間の人の移動を中心に、 「移住者とケア」という問題の射程を議論してみたい。

◆講師の紹介◆
2003年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。2005年より現職。専門は国際社会学。関連著作に「いかにして「ケア上手なフィリピン人」はつくられるか?」(伊藤るり、ブレンダ・テネグラ、稲葉奈々子との共著である、伊藤るり・足立眞理子編著『国際移動と<連鎖するジェンダー>』(作品社,2008年))、「女性の国際移動と越境する「家族」」(金井淑子編『ファミリー・トラブル』明石書店,2006年)。


6月30日(火)18:30〜 

第3回「グローバル化と都市-「下町」上野の事例から-」
講師:五十嵐泰正さん(筑波大学教員)
◆講師の紹介◆
1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。東京・上野の商店街で社会学的な調査に取り組むかたわら、34年間暮らしてきた千葉県・柏でまちづくり団体にも関わる。主な仕事に、「都市における多様性をめぐるいくつかの断章」 『年報社会学論集』第18号、「異郷に生きる アウェイの戦い」『現代思想』Vol.35-7(アンジェロ・イシ、洪貴義との鼎談)など。


7月4日(土)18:00〜

第4回「移住者と団地の変容-日本とフランスの比較の視点から-」
講師:森千香子さん(南山大学教員)

◆講師の紹介◆
1972年東京生まれ。現在は、南山大学准教授。共著に『市民のアソシエーション』(太田出版、2003年)、論文に「施設化する公営団地」(『現代思想』 2006年12月号)、「郊外団地と『不可能な』コミュニティ」(『現代思想』2007年6月号)など

7月14日(火)18:30〜 

第5回「移民とスポーツ-スポーツは境界を越えるのか?-」
講師:山本敦久さん(上智大学教員)

◆講師の紹介◆

上智大学文学部講師。専門:カルチュラル・スタディーズ、スポーツ社会学。主な仕事に、訳書『日本のヒップホップ:文化グローバリゼーションの<現場>』(上野俊哉、田中東子との共訳、NTT出版、2009)、論文「レボルト'68:黒人アスリートたちの闘争とアウターナショナルなスポーツ公共圏」(清水諭編『オリンピック・スタディーズ』せりか書房,2004年)など。