2・8独立宣言第100周年記念式が開催されました

2019-03-25

 1919年2月8日、東京神田の朝鮮基督教青年会(現在の在日本韓国YMCA)会館に数百名の朝鮮人留学生が集う中、朝鮮青年独立団による独立宣言文が読み上げられました。宣言署名者たちはその場で逮捕されましたが、宣言文は内外の朝鮮人独立運動家たちに伝えられ、翌月ソウルや平壌から始まり植民統治下の朝鮮における最大の独立運動となった3・1独立運動に大きな影響を与えました。

 この東京朝鮮人留学生による2・8独立宣言の発表から100周年を迎えた今年2月、独立宣言誕生の地である在日本韓国YMCAでは、100周年を記念する各種行事を企画、開催しました。

 7日には前夜祭として、韓日の音楽家、芸術家による記念公演が行われ、韓日の市民が共に集って100周年を祝い、今後の平和友好実現に向けた強い思いを確認しました。

 8日には、韓国政府代表、駐日大使、在日民族団体代表、さらには韓日のキリスト教会関係者をはじめとする350名が参加し、100周年記念式が開催されました。式では各来賓による記念スピーチの他、留学生連合会会長による独立宣言朗読もあり、出席者一同が100年前の出来事に思いを馳せ、その精神や歴史的意義を心に刻みました。

 9日には東京で、また15日には大阪で、それぞれ記念シンポジウムも開催されました。研究者だけでなく、一般市民、教会関係者、マスコミ関係者等で満席となった中、講演とパネルディスカッションを通して、2・8独立宣言の独立運動史的意義やキリスト教史的意義が再確認されたのみならず、当時の朝鮮人留学生が台湾や中国の留学生とも交流を深めていた事実など、これまで十分に知られてこなかった内容も紹介されました。各講演の内容は、一昨年から昨年にかけて開催された連続セミナーの内容と合わせて書籍化され、今年8月に新教出版社より刊行されます(仮題『未完の独立宣言―2・8朝鮮独立宣言から100年』)。

 2008年にYMCA会館内に開設され運営を続けてきた2・8独立宣言記念資料室も、100周年を機に会館内2階に移設、拡張されました。新展示室では35名程度の集会も開催できるため、今後ここを会場とした歴史セミナーの定期開催を計画しています。

 在日本韓国YMCAは、内外の多くの方から2・8独立宣言発表の場所として記憶いただいていること、同時にかつての独立運動の現場が100年後もなお存続し続け、今では多文化共生社会の実現、さらには東アジアにおける和解と平和の実現のための働きに用いられていることを重く受け止め、今後も、この独立宣言の意義を伝える場所、また未来志向の関係を築く上で必要となる日韓関係史、東アジア関係史の学びの機会を提供する場所としての務めを担い続けてまいります。さらなるご支援ご協力を心よりお願い申し上げます。